「組織ではどうも人とうまくやっていけない」弁護士 北周士弁護士が障害特性をどう捉えているか。 - 発達障害経営者コミュニティ「僕らはみんなミスってる」

発達障害失敗事例

「組織ではどうも人とうまくやっていけない」弁護士 北周士弁護士が障害特性をどう捉えているか。

投稿日:2018年9月30日 更新日:

 

いわゆるネット右翼と呼ばれる集団から、謂れのない理由で900通を超える大量の懲戒請求を受け、記者会見にも臨んだ弁護士。

そう聞いてご存知の方もたくさんいるでしょう。

大量懲戒請求を受けたまさにその当事者、北 周士(きた かねひと)先生です。

北先生は、発達障害傾向・特性をお持ちとのことで、弁護士として仕事をする上でもプライベートでも、その傾向・特性ゆえに色んなてんやわんやがあったようで、くわしくお話をうかがってきました。

 

目次

1.「とにかく人に働いていただくことができない」

2.「目に見えないもの、それはないもの」

3.「城攻め」と「ゆるいコミュニティ形成」

 

1.「とにかく人に働いていただくことができない」

 

ーー大量懲戒請求の話題で注目が集まっていますが、それとはうって変わって今回は先生の発達障害特性についてお話をうかがっていきたいと思います。よろしくお願いします。

 

北:「よろしくお願いします。」

 

ーーまず先生ご自身で把握している限りで、どういった障害特性をお持ちなのかうかがえますでしょうか。

 

北:「分かりました。言語性や動作性などを測定する知能検査で、私はどうやらASDが強め、ADHDは傾向としてあるということが分かりました。ちなみに言語性と動作性の数値の乖離は小さいです。」

 

ーーASDが強めということで、これまでにASD特性ゆえに何かうまくいかないとか失敗してしまったとか、そういうことはありますか

 

北:「はい。ASDはよく「空気が読めない」などと言われます。私は対人関係において、人の内心をおもんぱかることがうまく出来ません。というか出来ない。人がどう思うかとか何を感じているかとかそういったことに関心が特にはないんです。」

 

「この『人の内心に対する関心のなさ』が、事務所を経営するにあたって、所属弁護士や事務職員といった同じ組織の中の人たちに感じとられてしまうようです。組織の長として人をまとめあげていくというのに、人の内心をおもんぱかることが出来ないと組織が機能していかない。」

 

「人が感じていることに関心がない、興味が持てないという特性からか、事務所に所属する弁護士や事務職員が長持ちしない。別にどなったりしないし、給料が相対的に他より安いわけでもないし、労働時間も長くない。それなのに、これまで雇った人たちの2年内離職率は100%です(笑)。

 

「とにかく私の下で一緒に人に働いていただくということができない。人が何を思っているかに関心がないから、相手はコミットを感じられず、またその人自身を認めてあげて承認を満たすということもしないからつなぎとめておけないんですよね。なので割り切って昨年からは一人で事務所をやっています。」

 

2.「目に見えないもの、それはないもの」

 

ーーやや悲しいお話にも聞こえてきました(笑)。ところで先生ご自身は、他人の内心をおもんぱかれないといったASD特性をどのように捉えていますか。辛いとか苦しいとかそういった状態なのでしょうか。

 

北:「そうでもないです。言ってしまうと、ASDというのは本人は全く困らないんです。そもそも人がどう思うかに興味がないし、共感に乏しいのだから気に病むということもない。ただし、周りにいる人たちとの関係性は破壊される。」

 

「それでも、特性ゆえに困らない。気にしてないから。これがADHD強めの人であれば困ってしまうようです。強い衝動性や多動性があって余計なことを言ったりしたりしてしまうことで、本人も周りも困りつらい状況になるというのを聞いたことがあります。」

 

ーーASDは困らないというのは考えようによっては「強い」ですね。関心がないから左右されない。自分の思った道をひたすら進めるというか。他人の心や気持ちに興味がないという特性の他に、定型発達者の方と大きく異なると感じることってありますか。

 

北:「はい。私の場合は、目に見ることのできないものはないということですね。見えないんだからそれはないんです。心とか気持ちとかそういったもの。不可視のものは不可視なのだから、ないものとして行動する。これが定形の人とは違うでしょうね。」

 

「怒っているとか泣いているとか、人の行動に表れていることなら分かりますよ。ただ純粋にあたまの中だけにあるようなものは見えていないんだからない、ということです。」

 

3.「城攻め」と「ゆるいコミュニティ形成」

 

ーーASDに関してうかがってきましたが、ADHD傾向についてはいかがですか。この傾向があることでこれまでどういったご経験をされましたか。

 

北:「はい。これは多動性や衝動性に起因するのと、私自身の持つ性格・性質的なものとが合わさっていると思うのですが、私はとにかくおもしろいと思ったことにすぐに飛びつきます。」

 

「人の内心に関心がないと先程から言っていますが、人自体は好きです。「面白い」と「すごい」という2つの原理だけで人に興味を持ちます。この2つがないとその人に興味を持ちませんし、別に興味のない人とは付き合わなくていい。」

 

「その場その場で関係性を築くので、チーム作りには向いてない、というか出来ないです。組織が作れないのは事務所の話でもう言った通りですね。」

 

「大勢の人と関わる中で、私に出来るのは2つ。ひとつはプロジェクトマネジメント。「この城を攻め落とすぞ!」となった場合に、最強の布陣を敷くために適切な戦士を集めてきて隊列を組ませる。イメージ的に「ウォーッ!ガーン!ドカーン!ウォォォォ!」みたいになる戦いには臨んでいける(笑)。」

 

「もう一つはFacebookやTwitterなんかを使って、組織とまではいかないゆるいコミュニティを作って、資産化していくこと。懲戒請求の件に対応するために募金をつのった結果、かなりの額が集まったのはこっちの話ですね。」

 

「この2つが私のできることであり、得意なことです。」

 

ーーなるほど。お話をうかがって、ASDやADHDの障害特性をしっかり把握し、逆らうことなく活かしておられるように見えました。今回はありがとうございました。

 

北:「ありがとうございました。」

 

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